女性の薄毛と脱毛症、AGA(FAGA・FPHL)について
『AGA』と聞いてもぱっと何の意味かと思い浮かばないかもしれません。
しかし最近では街中の看板広告や、TVCMでもAGAを扱うクリニックの広告を見かけます。
言葉だけなら知っているという人は、こういう広告を見かけたのかもしれません。
その広告を見る限り、AGAは男性のものという印象を持っていませんか??
最近では女性にもAGAのような症状が出ることがわかっています。
そしてその治療を行うクリニックも増えてきているのです。
女性のAGAとはどんなものなのか、男性のAGAとの違いは?
女性にとってはとても気になる、薄毛・脱毛症についてのお話です。
AGAとは??
AGAとは、Andorogenetic Alopeciaの略で『男性ホルモン型(男性型)脱毛症』のこと。
名前のとおり成人男性に見られる脱毛症で、原因は遺伝や男性ホルモンの影響といわれています。
脱毛症というとストレスなどでいっぺんに大量の髪が抜ける円形脱毛症を想像しますが、AGAは時間をかけて徐々に進行していく脱毛症です。
早い人だと思春期以降、男性ホルモンの増加により生え際や頭頂部から抜け毛が始まり、徐々にその薄毛の範囲が広くなっていくという特徴があります。
日本人男性の3人に1人がAGAといわれています。
AGAは進行するにつれて徐々に毛母細胞を減らしてしまいます。
症状が進行するにつれて、改善するための時間や治療費が多くかかるようになってきます。
なのでAGAの治療は、早めに行うことが重要です。
AGAの特徴とヘアサイクルについて
AGAの原因はこの3つが最も多いと考えられています。
- 遺伝
- 男性ホルモン
- 生活習慣
特にこの中で大きな原因となるのは、男性ホルモン。
AGAはヘアサイクルと密接に関わりがあります。
髪の毛1本1本には生えてから抜けるまでの寿命があり、これを繰り返します。
この髪の毛が生え変わっていく繰り返しを、ヘアサイクルといいます。
ヘアサイクルの仕組みは、以下の3段階。
- 伸び続ける(成長期)
- 抜ける(退行期)
- 生える(休止期)
膨大な数の髪の毛1本1本がそれぞれのタイミングでこのヘアサイクルを繰り返しているので、1日100本くらいの太い髪の毛が抜けいてもそれは正常の範囲内なのです。
しかしAGAの場合、このヘアサイクルの
- 伸び続ける(成長期)
が男性ホルモンのテストステロンによって抑制され正常に機能しなくなり、髪が育たないまま退行期に入り抜けてしまいます。
この場合髪の毛は成長しきらないので、短くて柔らかい髪の毛が抜けます。
抜け毛の量が増えた時、抜けた髪の毛が髪が細くなったり、髪の毛が弱ってきたと感じてきたら、クリニックの診察を考えるタイミングといえるでしょう。
AGAの進行パターンとは?
AGAの主な進行パターンは大きく3種類に分けられます。
しかしこの3パターンで全て分類できるわけではなく、2種類を組合わせた複合型もあります。
- 頭頂部:【O字型】つむじが徐々に広がっていく
- 生え際:【M字型】額の両サイドが後退する
- 前頭部:【U字型】額が全体的に後退する
AGAの進行の段階を判断するために『ハミルトン・ノーウッド分類』という分類方法が使われます。
この名称はAGAの分類を研究した2人の医師の名前から名付けられました。
日本人の場合は、このハミルトン・ノーウッド分類には見られない進行パターンがあるため、日本人に多い進行パターンを加えた『高島分類』が使われています。
女性のAGA(FAGA)について、男性のAGAとの違いとは?
AGAは男性型脱毛症といいましたが、女性に同じようなものがないわけではありません。
女性にもAGAのような脱毛症が存在します。
女性に起こるAGAは、FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれています。
FAGAとはFemale AndroGenetic Alopeciaの略。
男性のAGAは生え際から進行して局所的に抜けていくのが特徴ですが、女性は全体的に薄くなっていくことが多いです。
この全体的に髪が薄くなっていく脱毛症を『びまん性脱毛症』といいます。
AGAの場合は男性ホルモンのテストステロンが脱毛に影響しますが、女性の場合は女性ホルモンのエストロゲン。
女性ホルモンのエストロゲンは、髪の毛を生成する働きがあります。
女性にも男性ホルモンはありますが、女性ホルモンのエストロゲンに比べたらとても微量なもの。
このエストロゲンの分泌が活発な時には男性ホルモンの影響はほとんどありません。
しかし加齢などの影響でエストロゲンの分泌が低下することで男性ホルモンとのバランスが崩れます。
次第に男性ホルモンが優位になり、男性のAGAのように脱毛が進行していきます。
男性のAGAと女性のFAGA、ふたつとも脱毛症ではありますが、
- AGA:男性ホルモンが発毛を阻害するのが原因で、局所的に脱毛が起こる
- FAGA:女性ホルモンの分泌低下が原因で、全体的に脱毛が起こる
という違いのある脱毛症なのです。
最近ではFAGAの研究が進みAGAとは違うということがわかってきたため、FAGAではなく『FPHL(Female Pattern Hair Loss)』とも呼ばれるようになってきています。
FAGA(FPHL)の原因と予防方法はあるの?
FAGAの特徴は先ほどの通り『びまん性脱毛症』。
びまんとは一面に広がるという意味で、女性の薄毛は頭髪が全体的に薄くなるという特徴があります。
FAGAの原因は、女性ホルモンの影響が大きいといわれていますが、他にもさまざまな理由があります。
- 加齢などによる女性ホルモンの減少
- 遺伝
- ストレス
- 極端なダイエット
- ピル(経口避妊薬)などの薬剤
など、FAGAは普段の生活や、そこにかかるストレスが原因になる傾向があります。
普段の生活習慣の中でホルモンバランスが崩れるようなものをできるだけ避けていくことがポイントとなります。
FAGA(FPHL)かも?薄毛や脱毛に気がついたらどうする??
自分がFAGA(FPHL)かも?と思った時、どうしたらいいのか。
薄毛や脱毛に関して自分でできる対処法は、先ほども挙げたような生活習慣を見直すことです。
しかし、脱毛症や薄毛というのは気がついた時にはある程度進行しているもの。
進行している脱毛症や薄毛を自分の生活習慣を変えることで解消しようというのは、非常に難しいのです。
脱毛や薄毛に気がついたら、クリニックを受診することを検討してください。
症状が出ている状態での自己流のケアは、症状を悪化させてしまうこともあります。
今まで薄毛は男性向けの治療を行っているところがほとんどでしたが、今では女性のための治療を行うクリニックも増えてきています。
治療は、薬剤を取り入れて施します。
また生活習慣の指導も合わせて行うところが多いです。
髪が細くなってうぶ毛になったとしても、毛根の毛母細胞が生きている状態なら、治療によって回復する可能性はあります。
薄毛・脱毛症を治したいと思ったら、症状の軽い早い段階から治療を始めることが重要になります。
安易に自己判断せず、まずはクリニックに相談するようにしてください。